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マンション管理:監事が招集する臨時総会の議長について

 監事が招集する臨時総会における議題提出については、「マンション管理:監事が招集する臨時総会における議題提出について」でも取り上げましたが、今回は、その臨時総会の議長について、令和4年3月現在のマンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」といいます。)をベースに考えてみましょう。


■ 標準管理規約41条、42条及び44条の確認


 標準管理規約41条は以下のように定めています。

(監事)
第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない。
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

 標準管理規約42条は以下のように定めています。

(総会)
第42条 管理組合の総会は、総組合員で組織する。
2 総会は、通常総会及び臨時総会とし、区分所有法に定める集会とする。
3 理事長は、通常総会を、毎年1回新会計年度開始以後2か月以内に招集しなければならない。
4 理事長は、必要と認める場合には、理事会の決議を経て、いつでも臨時総会を招集することができる。
5 総会の議長は、理事長が務める。

 標準管理規約44条(ただし電磁的方法が利用可能でない場合)は以下のように定めています。

(組合員の総会招集権)
第44条 組合員が組合員総数の5分の1以上及び第46条第1項に定める議決権総数の5分の1以上に当たる組合員の同意を得て、会議の目的を示して総会の招集を請求した場合には、理事長は、2週間以内にその請求があった日から4週間以内の日(会議の目的が建替え決議又はマンション敷地売却決議であるときは、2か月と2週間以内の日)を会日とする臨時総会の招集の通知を発しなければならない。
2 理事長が前項の通知を発しない場合には、前項の請求をした組合員は、臨時総会を招集することができる。
3 前2項により招集された臨時総会においては、第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。

 つまり、標準管理規約42条5項は、「総会の議長は、理事長が務める。」と定めており、標準管理規約44条3項は、「前2項(筆者注:44条1項及び2項を指す)により招集された臨時総会においては、第42条第5項にかかわらず、議長は、総会に出席した組合員(書面又は代理人によって議決権を行使する者を含む。)の議決権の過半数をもって、組合員の中から選任する。」と定めています。


■ 監事招集の臨時総会の議長についての定め


 標準管理規約41条3項に基づいて招集された総会の議長の定めは存在するでしょうか。

 もちろん、監事招集の臨時総会において決議(普通決議)して、議長を選任することは可能です(「マンション管理:通常総会の議長について」参照)。

 しかし、実際のマンション管理の現場では、その議長選任の段階でトラブルが生じることがあります。

 例えば、一部の人は、監事招集の臨時総会の議長についても管理規約42条5項の規定が適用されると主張し、また一部の人は、監事招集の臨時総会の議長は監事が務めるというのが管理規約の趣旨であると主張し、議長の選任についても円滑に進まず、ひいては議題の審議に入ることができない状況に陥ることがあります。

 このようなトラブルをできるだけ回避するためにも、監事招集の臨時総会の議長について明確に定めておいたほうがベターでしょう。

 例えば、以下のような改正案が考えられます。なお、私見としては、当該総会の意思決定(普通決議)によって、規約で定められた者以外の者を議長に選任することも可能であると考えますので、仮に総会で別段の決議をした場合はその決議に従うことになります。


 改正前の規定(標準管理規約41条3項参照)

監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。

 改正案

監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。この臨時総会の議長は、同臨時総会を招集した監事が務める。

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