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  • @lawyer.hiramatsu

破産財団に関する訴訟(区分所有法59条に基づく競売請求訴訟)と破産手続開始決定との関係

 今回は以下のようなご質問(「本件」といいます。)について検討します。

 区分所有法59条に基づく競売請求訴訟の係属中に、被告の区分所有者(自然人)に対し破産手続開始決定がなされた場合、係属中の訴訟はどうなりますか。

■ はじめに


1 原則論

 破産法44条1項【※1】は、破産手続開始決定時に係属する「破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。」と規定しています。

 区分所有法59条に基づく競売請求は、被告(区分所有者)が有する区分所有権等に関する訴訟手続であり、その区分所有権等は破産財団に属する財産に含まれますので、破産法44条1項が適用されることになります。

 したがって、区分所有法59条に基づく競売請求の訴訟手続は中断するのが原則です(後述の同時廃止の場合は別)。

 ところで、「破産財団に関する訴え」には、①破産財団に属する財産に関する訴訟のほか、②破産財団を引当てとする破産債権に関する訴訟も含まれます。

 本件は、区分所有法59条の競売請求(①破産財団に属する財産に関する訴訟)なので、それについての検討を主眼とします。

 なお、管理費等請求(②破産債権に関する訴訟)の場合は、中断後の手続が前者(①)の場合とは異なりますので注意が必要です。


 【※1】破産法44条

(破産財団に関する訴えの取扱い)
第44条 破産手続開始の決定があったときは、破産者を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
2 破産管財人は、前項の規定により中断した訴訟手続のうち破産債権に関しないものを受け継ぐことができる。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
3 前項の場合においては、相手方の破産者に対する訴訟費用請求権は、財団債権とする。
4 破産手続が終了したときは、破産管財人を当事者とする破産財団に関する訴訟手続は、中断する。
5 破産者は、前項の規定により中断した訴訟手続を受け継がなければならない。この場合においては、受継の申立ては、相手方もすることができる。
6 第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継する。

2 補足(同時廃止の場合)

 破産手続開始の決定と同時に破産手続の廃止が決定される場合(いわゆる同時廃止の場合)(破産法216条【※2】)には、従前の当事者間の訴訟がそのまま進行することになります。

 なお、この場合に関しては、「破産財団自体が形成されない以上、「破産財団に関する訴訟手続」(破44条1項)が存在せず、そもそも破産債権の届出、調査もなされないので、 従前の訴訟手続は中断することなく、従前の当事者である破産者と破産債権者との間で訴訟は継続する。」(『倒産と訴訟』島岡大雄・住友隆行・岡伸浩・小畑英一編(商事法務、2013年)142頁)という見方もありますが、破産法44条6項が適用されるという見方(『条解破産法』伊藤眞・岡正晶・田原睦夫・林道晴・松下淳一・森宏司(弘文堂、2010年)344頁参照)をしても結論に大差ないと思います。

 いずれにしても破産債権について破産者が免責決定(破産法252条【※3】)を受けた場合、破産者はその免責を主張して、破産債権の支払請求を拒む(請求棄却判決を求める)ことができます。


 【※2】破産法216条

(破産手続開始の決定と同時にする破産手続廃止の決定)
第216条 裁判所は、破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるときは、破産手続開始の決定と同時に、破産手続廃止の決定をしなければならない。
2 前項の規定は、破産手続の費用を支弁するのに足りる金額の予納があった場合には、適用しない。
3 裁判所は、第1項の規定により破産手続開始の決定と同時に破産手続廃止の決定をしたときは、直ちに、次に掲げる事項を公告し、かつ、これを破産者に通知しなければならない。
 一 破産手続開始の決定の主文
 二 破産手続廃止の決定の主文及び理由の要旨
4 第1項の規定による破産手続廃止の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
5 前項の即時抗告は、執行停止の効力を有しない。
6 第31条及び第32条の規定は、第1項の規定による破産手続廃止の決定を取り消す決定が確定した場合について準用する。

 【※3】破産法252条

(免責許可の決定の要件等)
第252条 裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。
 一 債権者を害する目的で、破産財団に属し、又は属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。
 二 破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。
 三 特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的又は他の債権者を害する目的で、担保の供与又は債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、又はその方法若しくは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。
 四 浪費又は賭と博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。
 五 破産手続開始の申立てがあった日の一年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。
 六 業務及び財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、又は変造したこと。
 七 虚偽の債権者名簿(第248条第5項の規定により債権者名簿とみなされる債権者一覧表を含む。次条第1項第6号において同じ。)を提出したこと。
 八 破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと。
 九 不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと。
 十 次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から七年以内に免責許可の申立てがあったこと。
  イ 免責許可の決定が確定したこと 当該免責許可の決定の確定の日
  ロ 民事再生法(平成11年法律第225号)第239条第1項に規定する給与所得者等再生における再生計画が遂行されたこと 当該再生計画認可の決定の確定の日
  ハ 民事再生法第235条第1項(同法第244条において準用する場合を含む。)に規定する免責の決定が確定したこと 当該免責の決定に係る再生計画認可の決定の確定の日
 十一 第40条第1項第1号、第41条又は第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと。
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる事由のいずれかに該当する場合であっても、裁判所は、破産手続開始の決定に至った経緯その他一切の事情を考慮して免責を許可することが相当であると認めるときは、免責許可の決定をすることができる。
3 裁判所は、免責許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者及び破産管財人に、その決定の主文を記載した書面を破産債権者に、それぞれ送達しなければならない。この場合において、裁判書の送達については、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
4 裁判所は、免責不許可の決定をしたときは、直ちに、その裁判書を破産者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
5 免責許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前項の即時抗告についての裁判があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。この場合においては、第10条第3項本文の規定は、適用しない。
7 免責許可の決定は、確定しなければその効力を生じない。

■ 破産財団に属する財産に関する訴訟の場合(本件の場合)


1 中断・受継(破産法44条1項・2項)

 破産法44条1項の規定により、破産財団に関する訴訟手続は中断するのが原則です。ただし、前述したように、破産手続開始の決定と同時に破産手続の廃止が決定される場合(いわゆる同時廃止の場合)(破産法216条【※2】)には、従前の当事者間の訴訟が進行することになります。

 破産財団に属する財産に関する訴訟手続の場合には、破産法44条2項【※1】の規定に基づき、破産管財人が訴訟手続を受け継ぐことができますし、受継の申立ては相手方(つまり本件の原告)もすることができます。

 訴訟手続が受継された場合、中断していた訴訟は、中断していた時点の状態で新当事者(破産管財人)に引き継がれます。


2 破産手続終了時の訴訟手続(破産法44条4項・5項)

 破産手続が終了すると破産管財人の訴訟追行権も消滅し、破産者に訴訟追行権が復活します。そのため、破産管財人が当事者となっていた訴訟は破産法44条4項に基づき中断し、破産者がそれを受け継ぐことになります。訴訟の相手方は、破産者に受け継がせるための受継申立てをすることができます。


3 受継なく破産手続が終了したとき(破産法44条6項)

 破産法44条第1項の規定により中断した訴訟手続について第2項の規定による受継があるまでに破産手続が終了したときは、破産者は、当然訴訟手続を受継することになります。


■ 破産債権に関する訴訟の場合


1 原則論

 破産手続開始決定後は、破産債権について個別的権利行使が禁止され(破産法100条1項)、破産法上の手続(届出・調査・確定手続)により行使するのが原則です(破産法111条【※4】以下)。

 中断された訴訟の債権者(破産債権者)は、破産法上の手続(届出・調査・確定手続)を利用しなければなりません。

 例えば、管理費等(破産債権)の支払を求める管理費等請求事件(破産債権に関する訴訟)の場合にも個別的権利行使は禁止され、破産法上の届出・調査・確定手続を経ることになります。

 もっとも、破産手続が開始されても、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足するおそれがあると認めるときは」(破産法31条2項)、破産債権の調査期日等を留保したまま(いわゆる留保型のまま)破産手続が異時廃止(破産法217条1項参照)によって終了することがあります。その場合、中断していた訴訟は破産者が受継することになります(破産法44条6項)。

 なお、破産者は、破産債権について免責(破産法252条【※3】)を主張して請求棄却判決を求めることができます(前述の同時廃止の場合と同じです)。


 【※4】破産法111条

(破産債権の届出)
第111条 破産手続に参加しようとする破産債権者は、第31条第1項第1号又は第3項の規定により定められた破産債権の届出をすべき期間(以下「債権届出期間」という。)内に、次に掲げる事項を裁判所に届け出なければならない。
 一 各破産債権の額及び原因
 二 優先的破産債権であるときは、その旨
 三 劣後的破産債権又は約定劣後破産債権であるときは、その旨
 四 自己に対する配当額の合計額が最高裁判所規則で定める額に満たない場合においても配当金を受領する意思があるときは、その旨
 五 前各号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項
2 別除権者は、前項各号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項を届け出なければならない。
 一 別除権の目的である財産
 二 別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
3 前項の規定は、第108条第1項に規定する特別の先取特権、質権若しくは抵当権又は破産債権を有する者(以下「準別除権者」という。)について準用する。

2 破産法上の届出・調査・確定手続に関係する規定

(1)認否書の作成及び提出について、破産法117条【※5】

(2)債権調査期間について、破産法118条・119条【※6】

(3)債権調査期日について、破産法121条・122条【※7】

(4)異議等のない破産債権の確定について、破産法124条【※8】

(5)異議等のある破産債権に関する訴訟の受継について、破産法127条【※9】

(6)執行力ある債務名義のある債権等に対する異議について、破産法129条【※10】


 【※5】破産法117条

(認否書の作成及び提出)
第117条 破産管財人は、一般調査期間が定められたときは、債権届出期間内に届出があった破産債権について、次に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
 一 破産債権の額
 二 優先的破産債権であること。
 三 劣後的破産債権又は約定劣後破産債権であること。
 四 別除権(第108条第2項に規定する特別の先取特権、質権若しくは抵当権又は破産債権を含む。)の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
2 破産管財人は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更(他の破産債権者の利益を害すべき事項の変更に限る。以下この節において同じ。)があった破産債権についても、前項各号に掲げる事項(当該届出事項の変更があった場合にあっては、変更後の同項各号に掲げる事項。以下この節において同じ。)についての認否を同項の認否書に記載することができる。
3 破産管財人は、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに、前2項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
4 第1項の規定により同項の認否書に認否を記載すべき事項であって前項の規定により提出された認否書に認否の記載がないものがあるときは、破産管財人において当該事項を認めたものとみなす。
5 第2項の規定により第1項各号に掲げる事項についての認否を認否書に記載することができる破産債権について、第3項の規定により提出された認否書に当該事項の一部についての認否の記載があるときは、破産管財人において当該事項のうち当該認否書に認否の記載のないものを認めたものとみなす。

 【※6】破産法118条・119条

(一般調査期間における調査)
第118条 届出をした破産債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第1項又は第2項に規定する破産債権についての同条第1項各号に掲げる事項について、書面で、異議を述べることができる。
2 破産者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項の破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。
3 裁判所は、一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
4 前項の規定による送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第2項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
5 前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。

(特別調査期間における調査)
第119条 裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前にその届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。ただし、当該破産債権について、破産管財人が第117条第3項の規定により提出された認否書に同条第1項各号に掲げる事項の全部若しくは一部についての認否を記載している場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
2 一般調査期間の経過後又は一般調査期日の終了後に第112条第1項若しくは第3項の規定による届出があり、又は同条第4項において準用する同条第1項の規定による届出事項の変更があった破産債権についても、前項本文と同様とする。
3 第1項本文又は前項の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該破産債権を有する者の負担とする。
4 破産管財人は、特別調査期間に係る破産債権については、第117条第1項各号に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。この場合においては、同条第4項の規定を準用する。
5 届出をした破産債権者は前項の破産債権についての第117条第1項各号に掲げる事項について、破産者は当該破産債権の額について、特別調査期間内に、裁判所に対し、書面で、異議を述べることができる。
6 前条第3項から第5項までの規定は、特別調査期間を定める決定又はこれを変更する決定があった場合における裁判書の送達について準用する。

 【※7】破産法121条・122条

(一般調査期日における調査)
第121条 破産管財人は、一般調査期日が定められたときは、当該一般調査期日に出頭し、債権届出期間内に届出があった破産債権について、第117条第1項各号に掲げる事項についての認否をしなければならない。
2 届出をした破産債権者又はその代理人は、一般調査期日に出頭し、前項の破産債権についての同項に規定する事項について、異議を述べることができる。
3 破産者は、一般調査期日に出頭しなければならない。ただし、正当な事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
4 前項本文の規定により出頭した破産者は、第一項の破産債権の額について、異議を述べることができる。
5 第3項本文の規定により出頭した破産者は、必要な事項に関し意見を述べなければならない。
6 前2項の規定は、第3項ただし書の代理人について準用する。
7 前各項の規定は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について一般調査期日において調査をすることにつき破産管財人及び破産債権者の異議がない場合について準用する。
8 一般調査期日における破産債権の調査は、破産管財人が出頭しなければ、することができない。
9 裁判所は、一般調査期日を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
10 裁判所は、一般調査期日における破産債権の調査の延期又は続行の決定をしたときは、当該一般調査期日において言渡しをした場合を除き、その裁判書を破産管財人、破産者及び届出をした破産債権者に送達しなければならない。
11 第118条第4項及び第5項の規定は、前2項の規定による送達について準用する。

(特別調査期日における調査)
第122条 裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前又は一般調査期日の終了前に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、必要があると認めるときは、その調査をするための期日(以下「特別調査期日」という。)を定めることができる。ただし、当該破産債権について、破産管財人が第117条第3項の規定により提出された認否書に同条第1項各号に掲げる事項の全部若しくは一部についての認否を記載している場合又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
2 第119条第2項及び第3項、同条第6項において準用する第118条第3項から第5項まで、第120条並びに前条(第7項及び第9項を除く。)の規定は、前項本文の場合における特別調査期日について準用する。

 【※8】破産法124条

(異議等のない破産債権の確定)
第124条 第117条第1項各号(第4号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内若しくは特別調査期間内又は一般調査期日若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
2 裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
3 第1項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。

 【※9】破産法127条

異議等のある破産債権に関する訴訟の受継)
第127条 異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、破産債権者がその額等の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。
2 第125条第2項の規定は、前項の申立てについて準用する。

 【※10】破産法129条

執行力ある債務名義のある債権等に対する異議の主張)
第129条 異議等のある破産債権のうち執行力ある債務名義又は終局判決のあるものについては、異議者等は、破産者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
2 前項に規定する異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、同項の異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、当該異議者等は、当該破産債権を有する破産債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
3 第125条第2項の規定は第1項の規定による異議の主張又は前項の規定による受継について、第126条第5項及び第6項並びに前条の規定は前2項の場合について準用する。この場合においては、第126条第5項中「第1項の期間」とあるのは、「異議等のある破産債権に係る一般調査期間若しくは特別調査期間の末日又は一般調査期日若しくは特別調査期日から一月の不変期間」と読み替えるものとする。
4 前項において準用する第125条第2項に規定する期間内に第1項の規定による異議の主張又は第2項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が破産債権者であるときは第118条第1項、第119条第5項又は121条第2項(同条第7項又は第122条第2項において準用する場合を含む。)の異議はなかったものとみなし、異議者等が破産管財人であるときは破産管財人においてその破産債権を認めたものとみなす。

■ おわりに


 本件は自然人の破産の場合ですが、仮に法人(株式会社など)の破産の場合(会社法471条5号参照)には注意が必要です。

 例えば、破産手続廃止決定が確定したとき(破産法216条~218条)に残余財産(例えば破産管財人が破産財団から放棄した不動産)があるならば、破産した会社はその後も清算法人として存続することになりますが(会社法476条参照)、その法人を代表すべき者が存在しないという事態が生じます(最判昭和43年3月15日参照)。

 その場合、その法人(会社)の清算人(会社法478条2項参照)ないし特別代理人(民事訴訟法37条・35条)の選任の問題が生じますので注意が必要です。




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