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区分所有法17条1項(共用部分の変更)に関する規約の定めについて

更新日:2021年11月27日

 区分所有法17条1項(共用部分の変更)に関する規約の定め方(解釈)の件は、これまでもWEB等で私見(後記3参照)を示してきましたが、今年(令和3年)に入っても、古い規約のまま(平成9年2月建設省(当時)発表の中高層共同住宅標準管理規約(単棟型)45条3項2号のような規定のまま)になっていることが原因でトラブルになっているマンションがあります。

 具体的には、「敷地及び共用部分等の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)」に関する総会の議事は「組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。」という定めのままになっていることから、共用部分の工事実施の際に必要な総会決議の要件を巡り、普通決議で足りると考える区分所有者と特別決議が必要と考える区分所有者との間でトラブルになっているようです。

 ここでは、「普通決議をもって足りる」と考える立場の方々に参考となる裁判例を二つ紹介しておきます。


1 参考裁判例


(1)札幌高裁平成21年2月27日判決

【裁判所の判断】

 「区分所有法17条1項は、「共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)」が特別決議事項であると定めている。ここにいう「共用部分の変更」は、その文言から明らかなように、「形状又は効用の著しい変更を伴」うものである。したがって、本件管理規約46条3項2号(筆者注:「本件管理規約」とは問題となったマンションの規約のことです。)の「敷地及び共用部分の変更」も、区分所有法17条1項と同じく、「形状又は効用の著しい変更を伴」うものであると解され、さらに、本件管理規約においては、「形状又は効用の著しい変更を伴」うものであっても、「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないもの」については、特別決議事項から除外されていると解すべきである。」


(2)東京地裁平成20年7月4日判決

【裁判所の判断】

 「本件管理組合規程32条2項2号(筆者注:「本件管理組合規定」とは問題となったマンションの規約のことです。)の規定が、区分所有法の平成14年改正前に定められたものであることは当事者間で争いがない。そして、区分所有法17条1項は、平成14年改正によりに、前提事実(4)の事実(筆者注:後記※参照)のとおり改正されているところ、同条項は、新法が強行規定として定めた規定と解されるから、新法下において、法に別段の定めがない限り、それと異なる定めを規約によってすることができず、旧法下の規約にそのような内容の定めがある場合は、その定めは新法の施行の日から効力を失うと解するのが相当である。そして、本件管理組合規程32条2項2号の定めは、平成14年改正区分所有法17条1項に抵触することは明らかであるから、同法が施行された平成15年6月1日に効力を失ったというべきである。

 なお、仮に、本件管理組合規程32条2項2号の定めを維持したい場合は、上記改正法が施行された後に、改めて、集会において、同号を定める旨の議決をする必要があり、それをしない限り、一旦失われた同号の効力は復活しないというべきである。

 したがって、本件議案は、区分所有者及び議決権数の過半数と決すべきものであり、それがなされたことは、前提事実(7)及び弁論の全趣旨から容易に推認できるというべきであるから、本件議案は、本件集会において、有効に成立したというべきである。」

(※)前提事実(4)の事実について

 「建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)は平成14年に一部改正され、その改正法は平成15年6月1日から施行されたが、同改正により、法17条(共用部分の変更)1項が次のとおり改正された(公知の事実)。

 (改正前条項)共用部分の変更(改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。

 (改正後条項)共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。」


2 上記二つの裁判例について


(1)札幌高裁平成21年2月27日判決の論旨に従えば以下のようになりそうです。

 ① 「共用部分の変更」とは、「形状又は効用の著しい変更を伴」うものである。

 ② 上記①に該当しないのであれば普通決議で足りる。

 ③ 「形状又は効用の著しい変更を伴」うものであっても、「改良を目的とし、かつ、著しく多額の費用を要しないもの」であれば特別決議事項から除外されることになる。


(2)東京地裁平成20年7月4日判決の論旨に従えば以下のようになりそうです。

 ① 当該マンションの管理規約の定めは、平成14年改正区分所有法17条1項に抵触する。

 ② 改正区分所有法17条1項と異なる規約の定めは新法の施行の日(平成15年6月1日)から効力を失う。

 ③ 仮に、旧法下の規約の定め(改正区分所有法17条1項と異なる定め)を維持したい場合は、改正法施行後に、改めて、集会において、それを定める旨の議決をする必要があり、それをしない限り、一旦失われた規定の効力は復活しない。


3 さいごに


 今回は「普通決議をもって足りる」と考える立場の方々に参考となる裁判例を二つ紹介しました。

 私見については下記のWEBサイトに掲載しています。


 出典:「弁護士平松英樹のマンション管理論」

 規約の解釈(区分所有法17条1項本文との関連)について 2012/9/4

 http://www.mankan-online.com/column-hiramatsu/001.html

 区分所有法17条1項(共用部分の変更)に関する規約の定め 2017/1/6

 http://www.mankan-online.com/column-hiramatsu/058.html


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