• @lawyer.hiramatsu

区分所有法45条1項で定める「書面又は電磁的方法による決議」について

更新日:2021年11月21日

 今回は、区分所有法45条1項で定める「書面又は電磁的方法による決議」について考えてみます。


1 区分所有法45条1項について


 区分所有法45条は以下のとおりです。同条1項は、区分所有者全員の承諾があるときは、集会を開催せずに、書面又は電磁的方法により「決議」を行うことができると定めています。以下、この決議のことを「書面決議」といいます。

(書面又は電磁的方法による決議)
第45条 この法律又は規約により集会において決議をすべき場合において、区分所有者全員の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議をすることができる。ただし、電磁的方法による決議に係る区分所有者の承諾については、法務省令で定めるところによらなければならない。
2 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項については、区分所有者全員の書面又は電磁的方法による合意があつたときは、書面又は電磁的方法による決議があつたものとみなす。
3 この法律又は規約により集会において決議すべきものとされた事項についての書面又は電磁的方法による決議は、集会の決議と同一の効力を有する。
4 第33条の規定は、書面又は電磁的方法による決議に係る書面並びに第1項及び第2項の電磁的方法が行われる場合に当該電磁的方法により作成される電磁的記録について準用する。
5 集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用する。

2 書面決議に関しトラブルとなるケース


 書面決議に関しトラブルとなるケースを考えてみましょう。


(1)ケース1

 書面決議を行うに際して必要な「区分所有者全員の承諾」(区分所有法45条1項)に関し、理事長(管理者)から全区分所有者に対し書面決議を行うことについて承諾するか否かを問う文書を発信し、区分所有者から「返信がない場合には承諾したものとみなす」としているケース


(2)ケース2

 書面決議をすることを前提に、理事長(管理者)から各区分所有者に議題・議案を示して賛否を問う文書を発信すると同時に、書面決議を行うために必要な「区分所有者全員の承諾」を求めているケース


3 検討(私見)


(1)ケース1について

 理事長(管理者)からの発信文書を見ていない区分所有者や、もともと賛成するつもりがなかった(無視した)区分所有者から、「全員の承諾」がない(具体的には自分の承諾がない)として、書面決議の無効を主張されることが考えられます。

 理事長(管理者)としては「承諾したものとみなす」と主張するのでしょうが、区分所有法上、そのような「みなし規定」が存在しないことからすれば、理事長(管理者)の主張は分が悪そうです。他の事実関係をもとに「承諾があった」と主張(立証)すべきでしょう。


(2)ケース2について

 ① 仮に書面決議を行うことを承諾しない区分所有者がいる場合には、そもそも書面決議を行うことはできません。「みなし規定」がある場合はケース1と同様です。

 ② また、集会に関する規定は、書面又は電磁的方法による決議について準用されます(区分所有法45条5項)ので、区分所有者から「区分所有法35条【※1】の規定を準用して、区分所有法45条1項の区分所有者全員の承諾を得た後に、各区分所有者に対し議題・議案を示して賛否を問う文書を発信すべきである。」と異議が出されることも考えられます。もし、このような異議が出された場合には、区分所有法36条【※2】の規定の準用も難しいので、理事長(管理者)としては改めて議題・議案を示して賛否を問うほうが無難です。


【※1】

区分所有法35条

(招集の通知)
第35条 集会の招集の通知は、会日より少なくとも一週間前に、会議の目的たる事項を示して、各区分所有者に発しなければならない。ただし、この期間は、規約で伸縮することができる。
2 専有部分が数人の共有に属するときは、前項の通知は、第40条の規定により定められた議決権を行使すべき者(その者がないときは、共有者の一人)にすれば足りる。
3 第1項の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、これを通知しなかつたときは区分所有者の所有する専有部分が所在する場所にあててすれば足りる。この場合には、同項の通知は、通常それが到達すべき時に到達したものとみなす。
4 建物内に住所を有する区分所有者又は前項の通知を受けるべき場所を通知しない区分所有者に対する第1項の通知は、規約に特別の定めがあるときは、建物内の見やすい場所に掲示してすることができる。この場合には、同項の通知は、その掲示をした時に到達したものとみなす。
5 第1項の通知をする場合において、会議の目的たる事項が第17条第1項、第31条第1項、第61条第5項、第62条第1項、第68条第1項又は第69条第7項に規定する決議事項であるときは、その議案の要領をも通知しなければならない。


【※2】

区分所有法36条

(招集手続の省略)
第36条 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。


最新記事

すべて表示

規約・集会議事録の閲覧請求権については、「マンション管理:利害関係人の規約・集会議事録の閲覧請求と管理者(理事長)の閲覧拒絶について」でも取り上げましたが、今回は、規約・集会議事録の謄写請求権について検討してみましょう。 ■ 検討 まず、区分所有法上は、閲覧請求のみ規定し、謄写請求の規定はありません。また、多くの管理組合においても、管理規約で閲覧請求のみを認め、謄写請求については認めておりません。

今回は、借地借家法22条〜24条【※1】の規定に基づく借地権(広義の定期借地権)について確認します。 ■ はじめに 定期借地権の制度は、1992年8月1日施行の借地借家法により創設されました。その後、借地借家法の一部を改正する法律(2008年1月1日施行)により現在の内容【※1】となっています。 なお、1992年8月1日施行時の条文は後記【※2】のとおりです。現在の条文【※1】と以前の条文【※2】

今回は、普通借地権(以下、単に「借地権」といいます。)を前提として【※1】、借地権の存続期間や借地上の建物の建替えについて検討します。 はじめに旧借地法下で設定された借地権に適用される規律を確認します。 次に、借地権の存続期間について、「旧借地法下で設定された借地権」と「現在の借地借家法下で設定された借地権」とを区別し、それぞれの「当初の存続期間」、「更新後の存続期間」を確認し整理していきます。