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マンション管理:集会(総会)議事録等の謄写請求権(派生論点:管理者は、管理組合の事務処理の結果について、個々の組合員に直接報告すべき義務があるのか)について

 規約・集会議事録の閲覧請求権については、「マンション管理:利害関係人の規約・集会議事録の閲覧請求と管理者(理事長)の閲覧拒絶について」でも取り上げましたが、今回は、規約・集会議事録の謄写請求権について検討してみましょう。


■ 検討


 まず、区分所有法上は、閲覧請求のみ規定し、謄写請求の規定はありません。また、多くの管理組合においても、管理規約で閲覧請求のみを認め、謄写請求については認めておりません。

 そのような管理規約の下でも、区分所有者から理事長(管理者)に対し、民法の委任の規定(民法645条又は656条)を根拠とする謄写請求権が主張されるケースがあります。

 このようなケースについては、下記の東京高裁令和4年3月9日判決(令和3年(ネ)第2502号事件)の裁判所の判断(2)部分が参考になります。


■ 東京高裁令和4年3月9日判決(令和3年(ネ)第2502号事件)の裁判所の判断


 【注】下記の「控訴人」とは区分所有者を指し、「被控訴人」とは管理組合を指しています。また、引用されている規約の条項は、当該管理組合の規約となります。

(1)区分所有法は、規約及び議事録につき、利害関係人からの請求があれば、正当な理由がある場合を除いて、その閲覧を拒んではならない旨規定し、組合員(区分所有者)又は利害関係人からの議事録、規約原本の閲覧請求について、理由を付した書面で請求された場合には、これを認め、被控訴人の業務に支障が生ずる場合、又は組合員の共同の利益を害する相当の理由がある場合には、閲覧を拒絶できる旨の規定を置いている(規約57条3項、61条4項、72条、72条の2、81条)。
 そこで、検討するに、文書の謄写においては、謄写作業及びその費用発生という閲覧にはない問題が生ずるから、文書の閲覧と謄写とは、区別して取り扱うべきところ、区分所有法も規約も、組合員(区分所有者)又は利害関係人に対して閲覧のみを許し、謄写を許していない。これは、組合員(区分所有者)又は利害関係人の利益と管理組合の業務運営上の利益とを調整する趣旨であると解される。そうすると、被控訴人の組合員(区分所有者)又は利害関係人は、被控訴人に対し、規約、議事録等の一定の文書につき、閲覧のみを請求し得ると解するのが相当である。
(2)この点、控訴人は、区分所有者と管理組合との法律関係は民法の委任の規定に従うから、民法645条又は656条に基づき、控訴人(区分所有者)は、被控訴人(管理組合)に対し、報告等の一態様として文書の謄写請求権を有する旨主張する。しかし、仮に、管理組合又は管理者と区分所有者との間に委任契約が観念できるとしても、管理者は、管理組合の事務処理の結果につき、個々の組合員に直接報告すべき義務はなく、管理組合の総会において、報告(区分所有法43条)すれば足りるものと解されるから、上記委任に関する民法の規定を根拠として、控訴人の文書の謄写請求権を認めることはできない。

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