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事業用定期借地権等の期間延長の可否

  • @lawyer.hiramatsu
  • 1月24日
  • 読了時間: 4分

■ はじめに


 今回は、借地借家法23条に規定する「事業用定期借地権等」の延長について検討します。


 借地借家法23条は次のとおり規定しています。本稿においては、1項に規定する借地権を「1項の事業用定期借地権」といい、2項に規定する借地権を「2項の事業用借地権」といい、それらをまとめて「事業用定期借地権」ということにします。


(事業用定期借地権等)
第23条 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条及び第16条の規定にかかわらず、契約の更新及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2 専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
3 前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。

 まず、事業用定期借地権等について、契約の更新はありません。仮に、契約更新と同様の効果を生じさせたいのであれば、当事者において法23条の規定に基づいて再契約することになります。

 

 では、事業用定期借地権等について、法が定める上限期間(1項の事業用定期借地権については「50年未満」、2項の事業用借地権については「30年未満」)の範囲で存続期間を延長することはできるでしょうか。


 例えば、公正証書によって存続期間40年として設定していた1項の事業用定期借地権について、その後の当事者の合意により存続期間を5年延長する(結果としてトータル45年とする)ことはできるでしょうか(設例1)。

 また、公正証書によって存続期間20年として設定していた2項の事業用借地権について、その後の当事者の合意により存続期間を5年延長する(結果としてトータル25年とする)ことはできるでしょうか(設例2)。


■ 検討


 上記の例について検討すると、いずれも、結論としては可能と考えます。


(1)設例1について 

 1項の事業用定期借地権は、「存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合」が要件となっており、1項の事業用定期借地権として新たに存続期間5年の契約をすることは不可能なので、延長を認めるべき必要性があります。

 また、期間延長の合意の効力を認めるほうが借地人の保護に資するといえますし、第三者との関係においても法定の期間(50年未満)の範囲であれば許容されてよいでしょう。

 したがって、当事者の合意の効力を否定する理由は見当たらず、結論として可能ということになります。


(2)設例2について

 2項の事業用借地権は、「存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合」が要件となっており、2項の事業用借地権として新たに存続期間5年間の契約をすることは不可能なので、延長を認めるべき必要性があります。

 また、期間延長の合意の効力を認めるほうが借地人の保護に資するといえますし、第三者との関係においても法定の期間(30年未満)の範囲であれば許容されてよいでしょう。

 したがって、当事者の合意の効力を否定する理由は見当たらず、結論として可能ということになります。


■ 発展問題


 上記の設例においては、当事者の合意による期間延長は可能という結論となりましたが、それでは、次のような質問についてはどうでしょうか。


(1)質問

 2項の事業用借地権として、公正証書により存続期間20年として設定していたものを、当事者の合意のみで(公正証書による再契約をすることなく)、さらに20年延長することはできますか。1項の事業用定期借地権の存続期間の上限(50年未満)の範囲内に収まるので可能ということになりませんか。


(2)回答(私見)

 結論としては「できない」と考えます。

 もともと2項の事業用借地権の存続期間の上限は30年未満です。ご質問のケースではトータル40年となります(法定の期間を超えます)ので、そのような延長は認められません。

 また、もともと設定されていた借地権は2項の事業用借地権ですが、それを当事者の合意のみによって1項の事業用定期借地権に変更することはできないと考えます。

 そもそも、ご質問のケースでは、法23条2項、3項の規定に基づき公正証書によって契約することも可能です。

 したがって、結論としては、当事者の合意のみによる延長はできず、再契約(公正証書によってする契約)をすべきということになります。


■ おわりに


 上記のほかにもいろんなケースが考えられますが、とりあえず、自らが負うリスクを検討し、そのリスを回避するためにはどうすべきかを検討するべきです。

 公正証書による再契約が可能であれば、そうしておいたほうが無難ではないでしょうか。

 
 
 

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