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マンション管理:屋根付き平置き式駐車場(車庫)の撤去について

 今回は、以下のようなご相談について検討します。

 当マンションの敷地(全区分所有者の共有に属する一筆の土地)上には、分譲当初から屋根付き平置き式駐車場(以下「車庫」といいます。)が設置されています。
 その車庫には周壁がなく、建物としての登記はされていません。当マンションの管理規約においては、最初(原始規約)から「附属施設」の一つとして掲げられています。
 この度、当マンション管理組合の総会で、上記車庫の撤去について検討しようとしたところ、一部の区分所有者から「当該車庫の撤去は共用部分等の処分に該当するので、共有者(区分所有者)全員の合意が必要である。」といった意見が出されました。
 当該車庫の撤去について、区分所有者全員の合意が必要なのでしょうか。ちなみに、当マンションの管理規約は、マンション標準管理規約(単棟型)(以下「標準管理規約」という。)に準拠しています。

■ 回答(結論)


 当該車庫の撤去に関していえば、区分所有法21条の規定【※1】に基づき、同法17条から19条までの規定【※2】が準用されますので、「区分所有者全員の合意」は不要です。


■ 理由(説明)


1 はじめに

 ご相談内容からすれば、当該車庫は「建物」とはいえず、区分所有法4条2項【※3】の規定に基づく規約共用部分としての登記はできないものと思われます。

 それを前提に、当マンションの管理規約においては当該車庫を「附属施設」として、そして「共用部分及び附属施設」をあわせて「共用部分等」と定義しているはずです(標準管理規約2条7号【※4】参照)。

 なお、当該車庫は、区分所有法3条【※5】に定める「附属施設」に該当するといえますので、団体としての管理の対象とすることが可能です。


2 一部の区分所有者からの意見について

 「敷地及び共用部分等」については「区分所有者の共有とする。」(標準管理規約9条【※6】)とされていることから、民法の規律を前提に「当該車庫の撤去は共用部分等の処分に該当するので、共有者(区分所有者)全員の合意が必要である。」といった意見が出たものと思われます。

 しかし、ご相談の件は、まず区分所有法の規律について検討する必要があります。


3 検討


(1)形式論

 区分所有法21条【※1】は、「建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第17条から第19条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。」と定めています。つまり、区分所有者の共有に属する敷地や附属施設については、区分所有法の規律(第17条から19条までの規律)に従うことを明らかにしています。


(2)実質論

 当該車庫を撤去したとしても、その土地(敷地)に対する全区分所有者の権利(共有持分)が失われるわけではありません。同土地(敷地)部分が団体的管理の対象部分であることは変わらず、つまり同土地(敷地)部分を別の目的のために使用することは可能です。

 そもそも、その土地(敷地)部分に駐車場を新設すること自体、区分所有法の規律に基づいて可能であったはずです(『コンメンタールマンション区分所有法(第3版)』稻本洋之助・鎌野邦樹著(日本評論社、2015年)106頁参照)。そうだとすると、それ(駐車場)を撤去する(別の使用に供する)場面においても区分所有法の規律に従うべきです。

 もちろん、区分所有法3条に定める「その敷地及び附属施設」に該当しない土地や施設については管理組合(団体)の管理対象物とはなりませんので、そのような土地や施設に関しては区分所有法の規律が及ばず、民法の規律に従うべきことになります。


(3)結論

 本件の土地(敷地)や当該車庫については、区分所有法3条に定める「敷地及び附属施設」に該当することが明らかなはずです(なお、その点に疑義があるのであれば、別の視点から再検討が必要です)。

 そうだとすると、当該車庫の撤去については区分所有法の規律(区分所有法21条が準用する同法17条から21条までの規定)に従うことになります。

 したがって、「区分所有者全員の合意」は不要という結論になります。


 【※1】区分所有法21条

(共用部分に関する規定の準用)
第二十一条 建物の敷地又は共用部分以外の附属施設(これらに関する権利を含む。)が区分所有者の共有に属する場合には、第十七条から第十九条までの規定は、その敷地又は附属施設に準用する。

 【※2】区分所有法17条から19条まで

(共用部分の変更)
第十七条 共用部分の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。)は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議で決する。ただし、この区分所有者の定数は、規約でその過半数まで減ずることができる。
2 前項の場合において、共用部分の変更が専有部分の使用に特別の影響を及ぼすべきときは、その専有部分の所有者の承諾を得なければならない。

(共用部分の管理)
第十八条 共用部分の管理に関する事項は、前条の場合を除いて、集会の決議で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。
2 前項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3 前条第二項の規定は、第一項本文の場合に準用する。
4 共用部分につき損害保険契約をすることは、共用部分の管理に関する事項とみなす。

(共用部分の負担及び利益収取)
第十九条 各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。

 【※3】区分所有法4条

(共用部分)
第四条 数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならないものとする。
2 第一条に規定する建物の部分及び附属の建物は、規約により共用部分とすることができる。この場合には、その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。

 【※4】マンション標準管理規約(単棟型)2条7号について

(定義)
第2条 この規約において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
 一 区分所有権 建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第1項の区分所有権をいう。
 二 区分所有者 区分所有法第2条第2項の区分所有者をいう。
 三 占有者 区分所有法第6条第3項の占有者をいう。
 四 専有部分 区分所有法第2条第3項の専有部分をいう。
 五 共用部分 区分所有法第2条第4項の共用部分をいう。
 六 敷地 区分所有法第2条第5項の建物の敷地をいう。
 七 共用部分等 共用部分及び附属施設をいう。
(以下略)

 【※5】区分所有法3条

(区分所有者の団体)
第三条 区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(以下「一部共用部分」という。)をそれらの区分所有者が管理するときも、同様とする。

 【※6】マンション標準管理規約(単棟型)9条について

(共有)
第9条 対象物件のうち敷地及び共用部分等は、区分所有者の共有とする。

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