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マンション管理:マンション内の漏水トラブル(金銭賠償の原則)

  • @lawyer.hiramatsu
  • 2023年2月5日
  • 読了時間: 3分

更新日:2023年12月13日

 今回は、以下のようなご相談を検討します。

 私(Y)はマンションの区分所有者です。私が所有し居住している部屋(専有部分の配管)から漏水して、階下の区分所有者Xさんに被害を与えてしまいました。Xさんから、Xさんの部屋の修繕工事を実施するよう求められています。Xさんの言うとおり、私は、Xさんの部屋の修繕工事を実施しなければならないのでしょうか。

■ 不法行為責任(土地工作物責任)


 Yさんが所有し居住している建物(専有部分の配管)からの漏水により、Xさんに被害を与えてしまったということですから、Yさんは民法717条1項【※1】に基づいて、Xさんに対し、損害を賠償しなければならないでしょう。


 【※1】民法717条1項

 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

■ 金銭賠償の原則


 損害賠償は、金銭をもってその額を定めるのが原則(金銭賠償の原則)とされています(民法722条1項【※2】が準用する417条【※3】)。そのため、Yさんは、金銭賠償する義務を負うことになりますが、Xさんの部屋の修繕工事を実施する義務は本来ありません。

 Xさんの立場からすれば、本来、現実賠償や原状回復を求めることはできません。Xさんとしては、Xさんの部屋の修繕工事は自ら実施して、Yさんに対しては金銭賠償を求めるべきことになります。

 仮に、XさんとYさんの間で、Yさんが修繕工事を実施する旨の合意が成立すれば、その合意も有効となりますが、Yさんの立場とすれば、そのような合意は避けるべきです。そのような合意は新たなトラブルの原因となります。


 【※2】民法722条1項

第417条及び第417条の2の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。

 【※3】民法417条

損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

■ 損害賠償額


 補足すると、Xさんの部屋の修繕工事の費用が、そのままYさんが賠償すべき損害額になるとは言い切れません。賠償の対象となるのは、不法行為時(漏水時)の財物の状態への原状回復費用相当額や不法行為時の財物の時価相当額となりますから、不法行為時(漏水時)の財物の状態を超える状態への費用(価額)相当額については、Yさんが賠償すべき損害額になるとはいえません。例えば、古い物が新品に変わったとすれば、Xさんは不法行為時の財物の状態を超えた財物を得ることになりますが、そのようなXさんの利益分に関しては、Yさんが賠償すべき損害とはいえないでしょう。


■ 注意事項


 現実問題として、漏水事故に関しては、賠償すべき損害の範囲・額について容易に認定できませんので、Yとしては、Xさんに誤解を与えるような回答は慎むべきでしょう。

 実際、同様のケースにおいて、加害者側が、被害者側に対し、誤解(過度な期待)を与えるような回答(言動)をしてしまったためにトラブルが拡大してしまったこともありますので、注意が必要です。

 

 

 


 
 
 

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